レンタカー 比較には、コツがある
まず自分の目で見て、自分が走っている路面の状態がわかり、かつ道路の状況を判断し、それに対処すべく右足のアクセルの踏みぐあいを加減し、あるいはブレーキ、ときにはハンドルを操作して、クルマの走る方向をコントロールする、それを組み立てていくのに必要な認識力と判断力だ。
たとえば前方に穴ボコがあるのを認めて、ハンドルをすこし切ってやりすごすという動作である。
J八はそう大きくない、やりすごせそうだ。
よし、避けて通ろうーと思ったとき、すでに「後方からクルマが来ていないか否かーと、無意識のうちにバックミラーで確認している。
そして、「対向車線からはみだしてくるクルマはないか」「左側に歩行者、自転車がいないかー、さらには「横道から出てくるものはないか」といったことも、瞬時のうちにチェックしている。
もし、「コいつは危険だ」と思ったときは、即座に考えを改め、ブレーキを踏むし、場合によっては停止するつもりだが、さいわいにして障害はない。
「前のほうからトラックが来ているが、だいぶ先だ。
これならセンターラインをはみだしても行けるな。
よし行こうー、アクセルをほんのすこし強く踏み、ハンドルを右へすこし切って、その穴ボコをよける」。
よけてからふたたびアクセルを戻しながら、「左側からバイクでも来ていないか」と、ミラーで確認しつつ、ハンドルを修正し、元のコースへ戻る。
文章で書けばやたら複雑だが、誰もがわずか数秒のうちにこれだけのこと、いや、これ以上のことを考えながら、にもかかわらずスムーズに一連の流れのなかで運転しているはずだ。
大事なのは、運転は誰にでもできることで、特別な技術ではないということだ。
そいつは運動神経でもなければ、動体視力でもない。
数秒後、十数秒後を想像しつつ、運転を組み立てていく思考力なのである。
クルマは脳が運転している。
そして、それを支えているのが、視力、腕力、脚力なのである。
この一連の動作がかつてのようにスムーズにいかなくなったとすれば、その原因のひとつは目である。
つまり視力の衰えだ。
もうひとつあるとすれば、手足が思うように動かないということがある。
三十代、四十代にあまり運転をせず、運転に慣れていない老人ドライバーにこういう人が多いという。
そういう老人は運転という行為をうとましく感じるらしい。
もし、六十歳を超えて自分の身体機能に不信を抱いたら、自分の脳の衰えを嘆く前に、まずは視力、腕力、脚力の検査をしてもらうことをおすすめする。
運転という作業は最低限の身体機能を必要とするから。
もし、その結果、眼鏡が必要というのであれば、これはすぐあつらえたほうがよい。
また、これも老人に多い病気なのだが、白内障になっていることもある。
これは眼科で治してもらう以外ない。
白内障になると夜間ドライブがむずかしくなる。
対向車のライトがまぶしくてしかたないのだ。
視力のテストに問題なく合格した人は、年齢に関係なく自信を持って運転した方がいいと思う。
老人になると、とかく出かけるのが億劫になるものだが、私はどんどんクルマでお出かけなさいといいたい。
クルマの運転は老人にとって、すこしの運動と適度の緊張をあたえてくれる。
それがいい。
ましてや六十歳を超えた人の多くは、義務で運転をしなくともよいのだから、どんどん愉しみで乗った方がいいと思う。
クルマの運転を支えているのは、思考力と同時に身体的な感覚でもある。
クルマに長く乗りたかったら、ハンドルを切って、前輪のタイヤが方向を変え、路面の上である抵抗を受けつつ曲がる感じ、これを両手の掌で感じるように感覚をとぎすますことだ。
クルマを運転するときは、いろいろなことを意識するといい。
タイヤのひところがり、ひところがり、クルマのサスペンションの上下、そしてハンドルを切って、クルマが曲がりはじめたときに発生するローリング、ブレーキのときにクルマの頭がすこし沈むノーズダイブ、このひとつひとつを意識して感じるようにすると、クルマの運転が上手くなるし、面白くなる。
クルマの動きは人間の五感と平衡感覚で感じとるものである。
この五感と平衡感覚をとぎすますことは身体の老化、あるいは脳の老化を遅くする訓練だと思って、私はいつも脳をぐるぐる動かしながら運転している。
私は昨今、若かったころのようには飛ばさないが、といって箱根の山道で私のクルマの後ろに多くのクルマが数珠つなぎになるというほどではない。
ま、普通のドライバーよりすこし速いという程度のスピードで走っている。
しかし、やっているのは依然として変わらない。
たとえばコーナリングである。
ドライブ中、完壁なドライブをめざしコーナーの手前でブレーキ、それを終了してからハンドルコーナーの大きさはもうまちまちだし、対向車があるときもコーナー内ではクルマの姿勢に注意し、やがてコーナーの出口になると、アクセルをあけてやって脱出する。
もう四O年以上もドライブしていても、「いまのはパーフェクトだったナーと思えるコーナリングはめったにあるものじゃない。
では、公道でのコーナリングというのは、完壁を求めタイムの短縮をめざしてしやかりきにやるべきものなのかというと、私はそうは思わない。
私の場合はごく普通のジジイが、自分が安全と思える範囲内で、自分の愉しみで走っているだけにすぎぬ。
ただの自己満足である。
そもそもほかのクルマも走っている公道で、わざわざテールスライドさせて走るなど、言語道断な迷惑行為だ。
じゃ、なぜそれをやるかというと、とにかくそれが脳を刺激して愉しいからなのだ。
でれでれ、だらだらクルマをころがしていても、すこしも愉しくない。
いや、それどころか、緊張を欠いた運転は危険ですらある。
適度の緊張あってこそ運転は成立すると思うのだ。
やたらノロノロと走るだけが安全ではない。
ノロノロと走ることで緊張を欠いたドライビングになっては、かえって危ない。
ドライブのポイントは、ふだん、五0−六Oパーセントぐらいの力で走っているとすれば、八Oパーセントまで出してみるということだ。
一OOパーセント出し切る必要はない。
こうすることによって、ドライブ中いつも緊張を保つことができる。
「いつもよりほんのすこし速くし、こいつが大切なのだ。
そして、この「すこし速く」ということは運転のABCを知れば、ごく安全な範囲でできるのだ。
しかし、セオリーを知らないと、時としてセオリーと逆のことをやってしまう。
これはたとえ速度が低くてもおおいに危険である。
私は運転をクルマとの対話だと思っている。
つまり私はいつもクルマと対話しながら走っているのだ。
私はこのやり方を皆さんにもすすめたい。
こうすると運転に集中でき、もう一年以上も乗っている自分のジャグァーXK8でも、新しい発見があったりする。
私がクルマと対話をするようになったのは五十歳をすぎて、長時間ドライブが退屈に感じるようになったからである。
退屈は眠気を誘発するし、危険だ。
とかく運転という行為は単調に流れやすいのだが、なにせ秒速二七メートル以上で走っていることを考えたら、緊張を欠いた運転はあり得ない。
いや、高速道路ではなく、一般道を印刷/=で流しているとしても、秒速二ハメートル以上なのである。
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